サイトへ戻る

6年前に歴史を逆行させる不当反動決定

3.28高浜原発再稼働容認の大阪高裁抗告審に市民の怒り

 3月28日、大阪高裁前に「反原発」の赤旗が、春風にのって数多くたなびく。世界史上初の運転中の原発を司法の力で止めた3.9大津地裁仮処分決定から1年余。近畿・全国の広範な市民や反原発運動家がかけつけた。関電が起こした抗告の審理決定が午後3時に出された。約10分後、住民側若手弁護士が結果の幕を持って入り口に駆け付け、緊張が走る。しかし拡げられたものは、「不当決定!国民・県民の世論に逆行」だった。ただちに参集した数百人の市民は、怒りのシュプレヒコールをあげた。
 

 昨年3月9日の大津地裁仮処分決定は、新規制基準自体の問題を暴き、安全の根拠の立証責任を関電に求め、十分な避難策確立も求めた画期的な、まさに民意反映のものだった。

これを真っ向から覆し、高浜原発3.4号機再稼働容認の決定を大阪高裁は下した。住民側原告の井戸謙一弁護団長は記者会見で、「この決定は新たな安全神話だ」とし、「415頁もある大部の決定書だが、ほとんど関電・規制委員会の引き写しだ。不当判例である伊方判決を踏襲する、3.11事故に何も学ばない、何ら責任を感じられない。規制委や電力会社や政府・行政の姿勢に・暴走にストップをかけられるのは司法しかない。その責任・自覚のかけらも感じられない」と、怒りを表明。

さらに井戸氏は、「新規制基準に適合しているかのみを問題とする、過酷事故は考えられないからこの汚染水処理策は完備していなくてもよい、規制の安全性の立証責任は住民側にあるとしている。不当な枠組としてこれまで原発裁判で押し付けられていた、伊方最高裁判決よりもなお住民側に不利な立場をとる、ちょっと想定していなかった、3.11前の裁判基準より後退したものとなっている」と。

 全国脱原発弁護団・河合弘之共同代表は、「この裁判体は行政訴訟と間違っているのではないか。『規制基準に適合かどうか』のみを問題とし、規制基準を安全基準だと思っている。避難については規制の基準にしてないので、適当でいいんだと言っている。多重防護の思想の否定だ。私たちは屈することなく、闘いをやめない。勝つまで闘う。負けたら次の手を考える。勝つまで兵を繰り出して戦う」と宣言した。

 辻義則原告団長は、「あまりにも情けない決定だ。政府・電力会社を忖度した不当な決定だ。大津地裁で本訴の勝利に向け引き続き闘う」と決意表明。

昨年12月18日に高浜原発至近・音海地区自治会の皆さんが高浜原発1.2号機の運転延長反対決議を採択されたことや、本年1月20日に112メートルのクレーンが高浜原発で倒れるなど、度重なる全国や若狭・高浜原発での安全無視による事故発生、1450万人の近畿のいのちの水源・琵琶湖を託されている滋賀県三日月大造知事の原発再稼働反対の意思表明等々を全く省みない、安倍政権・電気事業連合会トップの意思を忖度した、原発マフィアファーストのあきれた不当反動決定に市民の怒りは収まらなかった。大阪高裁の裁判長はさらなる大衆闘争の奮起を促してくれたと言えよう。 

(さいなら原発・びわこネットワーク 稲村守)

broken image
broken image
broken image
broken image
broken image
broken image
broken image